ASCII Power Review 第197回
AF機能が向上して自動認識が超便利です
キヤノン「EOS R6 MarkⅡ」実機レビュー = コスパ最高の高性能自動AFカメラだ!
2022年12月06日 10時00分更新
キヤノンがフルサイズミラーレスの最新モデル「EOS R6 MarkⅡ」を発表した。2020年8月に発売した「EOS R6」の後継モデルで12月中旬に発売予定だ。
今回は発売に先立って試用するチャンスに恵まれたので、どのような進化を遂げたのか、気になる実力をチェックしてみた。
なお機材は発売前の評価機なので、動作や画質などは実際の製品と異なる可能性があるため、実写は50%に縮小してアップロードしている。

量販店価格はボディーのみ39万6000円、写真で装着している「RF24-105mmF4L」とのレンズキットは55万円。他に「RF24-105mmF4-7.1」とのキットも44万円でラインナップしている。
サイズは変わらず 操作系は最新モデルと同様に
ボディーは前モデルより重量が10gほど微減したがデザインを含め大差はない。グリップは大柄で形状も手に馴染むが、手の小さい人には、もう少し細身のほうが好みかもしれない。
上面の操作系では電源スイッチが今夏に登場した「EOS R7/10」と同様に、左肩から右肩に移動した。ただ「EOS R7/10」の電源スイッチは背面側なので構えた時に右手親指で操作できたのに対し、本機では前面側なので人差し指での操作になる。なお前モデルの電源スイッチに位置には左肩には「静止画/動画スイッチ」が搭載されていた。
ホットシューは2021年登場のハイエンドモデル「EOS R3」から採用されている「マルチアクセサリーシュー」を搭載した。マイクやストロボ調光のトランスミッターなどの専用アクセサリーでは、通信にくわえ給電もボディーから行えるのが有り難い。
背面のボタン配置や162万ドットのバリアングル液晶などは変わりないが、測距点移動をおこなう「マルチコントローラー」が丸み帯びた形状になった。前モデルより触れたときの感触がやさしく。長時間使用していると違いを実感できる。
シャッターボタン後方のメインダイヤルに、上面右肩後方と、EOS伝統ともいえる背面ホイールのサブダイヤルの計3つのダイヤルを備え、絞りとシャッタースピード(もしくは露出補正)にISO感度と露出に関わる設定がダイレクトに変更できる。
さらに3つのダイヤルを活かしたもう一つの機能が、シャッタースピードボタン左後方の「M-Fn」ボタンから呼び出せる「ダイヤルファンクション」だ。
上段下段で計9つの項目が割り当てられ、後ダイヤルでは項目の左右移動、前ダイヤルでは上段項目を、背面ホイールでは下段項目の設定を変更できる。多少慣れは必要だが、例えば上段に連写モード、下段にAFエリアなど頻繁に切り替える項目を割り当てておけば、少ないアクションで素早く設定変更ができ便利だった。
側面の端子類やUHS-Ⅱ対応SDのデュアルスロットは変更なく、EVFも369万ドットで倍率0.76倍と変わらないが、クリアで滑らかな表示で視認性は良い。
バッテリーも前モデル同等「LP-E6NH」だが、公称撮影可能枚数が380枚から450枚に向上。バッテリー消費が少ない連写メインの撮影では2637枚撮影で残16%と、前モデルよりスタミナがあるように感じられた。
AF性能が大幅に向上し鉄道や飛行機も認識
自動検出が便利なのだ
もっとも進化したのはトラッキング(追尾)や被写体認識など、「EOS R3」に匹敵するAF性能だろう。
トラッキングはAFモードSERVO(AF-C)ではシャッターボタン半押しなどで合焦後に自動的に追尾が始まり、被写体の動きに合わせスムーズにピントを合わせ続けてくれる。
またAFモードONE SHOT(AF-S)でも「全域トラッキング開始/停止」機能で追尾に切り替えることができ、シャッターボタンを半押しするとピントが固定される。従来なら置きピンや測距点移動で撮影していたシーンで有効だ。

この写真のように画面の端にピントを合わせたい場合も、トラッキングで測距点を移動すれば素早く撮影できる。使用レンズ「RF24-105mm F4 」・絞りF4・シャッタースピード1/60秒・ISO100・ホワイトバランスオート。
被写体認識は人物と動物、乗り物と大別される検出対象に変わりは無いが、動物は犬/猫/鳥にくわえ馬が、乗り物では車/バイクにくわえ鉄道/飛行機が追加されている。さらに対象被写体を自動で検出する機能も搭載された。その際にカスタマイズで検出被写体の限定や切り換えることもできるので、実用性は高い。
実際に撮影してみると検出さえしてくれれば飛んでいる鳥のように素早く動く被写体でも粘り強く追随してくれた。

飛び回るカモメを被写体認識自動、AFエリアは全域で撮影。背景と被写体が区別できるシーンでは確実に検出してくれた。使用レンズ「RF100-400mmF5.6-8」・絞りF8・シャッタースピード1/2000秒・ISO1000・ホワイトバランスオート。

複数の検出対象があると画面中央や、より検出しやすい被写体を検出する。この写真の場合は左から2羽めを検出していた。使用レンズ「RF100-400mmF5.6-8」・絞りF8・シャッタースピード1/2000秒・ISO1000・ホワイトバランスオート。

手前に障害物がある場合(写真左)、AFエリアを1点などで限定すれば、狙った被写体を検出することができる(写真右)。使用レンズ「RF100-400mmF5.6-8」・絞りF8・シャッタースピード1/500秒・ISO800・ホワイトバランスオート。

かなり遠くから着陸してくる飛行機も検出してくれた。使用レンズ「RF100-400mmF5.6-8」・絞りF8・シャッタースピード1/2000秒・ISO1000・ホワイトバランスオート・1.6×クロップ。
連写性能はメカシャッターでは最高秒12コマと前モデルと変わらないが、電子シャッターでは最高秒40コマと「EOS R3」の秒30コマを上回る。積層型撮像素子ではないので動体歪みはあるが、それでも一般的な機種よりも歪みは少ないように感じる。

電子シャッターの秒40コマで約2秒連写した写真からGIFアニメを作例。高速連写でも被写体認識&トラッキングで各カットしっかりピントは合っている。使用レンズ「RF100-400mmF5.6-8」・絞りF8・シャッタースピード1/2000秒・ISO1000・ホワイトバランスオート。

メカシャッター(写真左)と電子シャッター(写真右)の動体歪みの比較。この程度なら十分実用的だ。使用レンズ「RF24-105mmF4 」・絞りF4・シャッタースピード1/2000秒・ISO1250・ホワイトバランスオート。
またプリ撮影が可能な秒30コマ連写の「RAWバースト」もキヤノンフルサイズ機で初搭載。鳥が飛び去る瞬間など、狙って撮るのが難しいシーンで活躍してくれる。

RAWバーストで撮影した写真の再生画面。写真左がシャッターボタンを押した瞬間。プリ連写のおかげで飛び立つ前の写真も記録されていた。使用レンズ「RF100-400mmF5.6-8」・絞りF8・シャッタースピード1/2000秒・ISO1000・ホワイトバランスオート。
画素数が向上したが高感度性能もUPで
安心のミドルモデルとなった
撮像素子は前モデルの2010万画素から2420万画素に変更された。最近のフルサイズ機にしては画素数が控えめにも感じるが、撮影した画像を見ても細部の解像感は高く、極端なトリミングをして使用するなどの用途でなければ不満は感じないはず。柔らかな階調再現や、色乗りのよい自然な発色は好印象だ。

ピントの合っている遠景部を拡大して見ると、草木やビルの細部まで精細に解像されている。使用レンズ「RF24-105mm F4」・絞りF8・シャッタースピード1/250秒・ISO100・ホワイトバランスオート。

街中のビルの一部を切り取ったスナップ。窓の写り込む建物のシャープ感がいい感じ。使用レンズ「RF24-105mmF4 」・絞りF4・シャッタースピード1/2000秒・ISO1250・ホワイトバランスオート。

夕暮れ時の逆光でコントラストが高い状況だが、明暗部が階調はしっかり再現されている。使用レンズ「RF100-400mmF5.6-8 」・絞りF8・シャッタースピード1/1000秒・ISO1000・ホワイトバランスオート。

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